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運用・BCP

電話が止まらない備え|障害・災害時のバックアップ転送と冗長化

回線障害や停電、災害で代表番号がつながらなくなると、問い合わせや受注の窓口がそのまま止まってしまいます。電話のBCP(事業継続計画)として考えておきたい障害のパターン、バックアップ転送・一括転送の使い分け、冗長化の考え方と平時の準備を、法人の電話担当者向けに整理します。

公開日:2026年9月28日 最終更新:2026年9月28日

電話が止まると何が起きるか

メールやチャットが普及した現在でも、代表番号やフリーダイヤルは顧客・取引先にとって最後の連絡手段であることが少なくありません。電話がつながらない状態が続くと、次のような影響が出やすくなります。

  • 受注・問い合わせの取りこぼし:かけ直してもらえるとは限らず、機会損失が見えにくい形で積み上がります。
  • 信用の低下:「つながらない会社」という印象は、障害が解消した後も残りがちです。
  • 社内連絡の混乱:拠点間や外出中の社員との連絡手段が限られ、状況把握が遅れます。
電話BCPの目的

目標は「障害をゼロにすること」ではなく、障害が起きても着信を受けられる状態をどれだけ早く作れるかです。そのために、起こりうる障害のパターンを知り、パターンごとの受け皿を平時に決めておきます。

想定しておきたい障害のパターン

電話が止まる原因は、どこで障害が起きたかによって取れる対策が変わります。大きく分けると次の4つです。

障害の場所主な原因の例社内での対処
社内設備PBX・主装置の故障、ルーターやONUの不具合、停電設備の復旧・交換が必要。復旧までの受け皿が要る
回線(アクセス区間)光回線の断線、工事事故、局舎側の障害社内では直せない。着信を別の場所へ逃がす仕組みが有効
拠点そのもの災害・火災・感染症などで出社できない別拠点や携帯電話、在宅での受電に切り替える
通信事業者の網事業者側の大規模障害事業者の復旧を待つほか、別事業者の回線や携帯電話で連絡手段を確保

このうち、社内設備・回線・拠点の障害は、あらかじめ転送先を用意しておくことで影響を大きく減らせます。一方で事業者網そのものの障害は一社の工夫だけでは防ぎきれないため、別系統の連絡手段を持っておくことが備えになります。

バックアップ転送と一括転送の違い

障害時の着信を別の電話番号へ逃がす方法として、固定電話サービスには複数の転送機能が用意されています。名前が似ているため混同されがちですが、役割が異なります。以下はKDDI 光ダイレクトの例です(名称や仕様は回線サービスによって異なります)。

機能動き方向いている場面
着信転送(無条件・話中・スケジュールなど)番号ごとに条件を決めて転送する営業時間外の転送、話し中の受け皿など日常運用
一括転送複数の番号にあらかじめ転送先を設定し、操作ひとつでまとめて転送を開始・終了する拠点閉鎖・災害時の計画的な切り替え、オフィス移転の当日
バックアップ転送回線障害などで着信できなくなったときに、起動操作なしで事前に設定した転送先へ自動で転送する予期しない回線・設備障害への備え
「手動で切り替える備え」と「自動で切り替わる備え」

一括転送は担当者が起動する前提のため、障害に気づいてから操作するまでの時間は着信を受けられません。バックアップ転送は着信不能を検知して自動で転送するため、夜間や担当者不在時の障害にも備えられます。両方を併用する場合、どちらの設定が優先されるかは事業者の仕様によるため、申込み前に確認してください。

オフィスラインでも、回線サービスに応じて一括転送・バックアップ転送をオプションとして選べます。対応状況と料金はオフィスラインの料金表をご確認ください。

転送先の決め方

転送の仕組みを用意しても、転送先で誰が電話を取るのかが決まっていなければ機能しません。転送先の候補と、それぞれの注意点です。

別拠点の代表番号

支店や営業所がある場合の基本形です。受電した側が状況を把握できるよう、「障害時はこの拠点で受ける」という役割を事前に共有しておきます。

担当者の携帯電話

拠点が1つの企業でも用意できる受け皿です。個人の携帯電話に集中しないよう、当番制や複数番号への振り分けを決めておくと運用が安定します。

コールセンター・代行サービス

着信量が多い窓口では、外部の受付体制を転送先にする方法もあります。平時から契約しておかないと、障害時にすぐは使えません。

転送時の通話料にも注意

一般的に、転送された区間の通話料は転送を設定した契約者側の負担になります。携帯電話への転送が長時間続くと費用がかさむことがあるため、どの程度の時間・件数を想定するかも含めて転送先を選んでください。

回線と拠点の冗長化という考え方

転送は「つながらなくなった着信を逃がす」仕組みです。これに加えて、そもそも1か所の障害で全体が止まらない構成にしておくのが冗長化です。

  • 回線を1本に集約しすぎない:データ通信と音声が同じ回線に載っている場合、その回線の障害で両方が止まります。重要度に応じて系統を分けることを検討します。
  • 交換機を1台に依存しない:オンプレミスのPBXは、本体が止まると全内線・外線が止まります。クラウドPBXのように交換機能を社外に置く構成は、社屋が使えなくても別の場所から受発信を続けやすいという利点があります。詳しくは「クラウドPBXとは?」をご覧ください。
  • 拠点ごとに受け皿を分散する:SIPトランクのように回線を論理的に扱える方式では、複数拠点で番号や同時通話数を柔軟に配分しやすくなります。仕組みは「SIPトランクとは?」で解説しています。
  • 停電への備え:ONU・ルーター・PBX・電話機が停電すると、回線が生きていても電話は使えません。重要機器の無停電電源装置(UPS)の有無と稼働時間を確認しておきます。
冗長化はコストとの見合いで

すべてを二重化すると費用は大きくなります。「どの番号が、どのくらいの時間止まると困るか」を先に決め、止まると困る窓口から優先して備えるのが現実的です。

平時に準備しておくこと

障害時に慌てないために、次の項目を平時にまとめておきます。

準備項目内容
番号の一覧代表番号・フリーダイヤル・FAX番号ごとに、用途と重要度、障害時の転送先を整理する
連絡先回線事業者・PBX保守業者の障害受付窓口と、契約番号などの問い合わせに必要な情報
切り替え手順一括転送の起動・停止方法、操作できる担当者と代理者、暗証番号の管理方法
周知の方法Webサイトのお知らせ欄やSNSで、障害発生と代替連絡先を案内する手順
訓練年に1回程度、実際に転送を起動して着信できるか確認する

特に見落とされやすいのが訓練です。転送先の携帯電話が機種変更で番号が変わっていた、操作手順を知る担当者が異動していた、といった理由で、いざというときに機能しないことがあります。オフィス移転や番号の追加など、構成が変わるタイミングでも見直してください。

よくある質問

会社の電話が障害でつながらないとき、着信を携帯電話に転送できますか?
できます。回線障害などで着信できなくなったときに自動で転送する「バックアップ転送」や、操作ひとつで複数番号をまとめて転送する「一括転送」を使う方法があります。どちらも事前の申込みと転送先の設定が必要なため、障害が起きる前に準備しておくことが大切です。
バックアップ転送と一括転送はどう違いますか?
バックアップ転送は、回線障害などで着信不能になったときに起動操作なしで自動的に転送する機能です。一括転送は、担当者が操作して複数の番号の転送をまとめて開始・終了する機能です。予期しない障害にはバックアップ転送、災害時の拠点閉鎖や移転日など計画的な切り替えには一括転送が向いています。
転送した場合の通話料は誰が負担しますか?
一般的に、転送された区間の通話料は転送を設定した契約者側の負担となります。発信者はもともとの番号への通話料のみを負担します。携帯電話への転送が長時間続くと費用が増えるため、想定する期間や件数を踏まえて転送先を決めてください。
停電すると会社の電話は使えなくなりますか?
IP電話や光回線の電話は、ONUやルーター、PBX、電話機に電源が必要なため、停電すると多くの場合使えなくなります。重要な機器に無停電電源装置(UPS)を用意するほか、停電時でも着信を受けられるよう転送先を決めておくと安心です。
電話のBCP対策は何から始めればよいですか?
まず、保有している番号ごとに用途と重要度を整理し、「止まると困る番号」を特定することから始めます。次に、その番号の障害時の転送先と切り替え手順を決め、実際に転送できるかを試しておきます。構成全体の見直しが必要な場合は、回線やPBXの冗長化もあわせて検討してください。
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