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通信の基礎知識

ISDN終了で何が変わる?固定電話のIP移行と切り替え手順

NTT東日本・西日本のISDN(INSネット)ディジタル通信モードは終了し、固定電話網はIP網へ移行しました。何が変わり、何を確認すべきか、切り替えの進め方までを実務の観点で整理します。

最終更新:2026年8月6日

ISDN終了とは何が終わったのか

ISDN(INSネット)には、音声通話に使う通話モードと、データ通信に使うディジタル通信モードの2つがありました。終了したのは後者のディジタル通信モードです。

区分用途扱い
通話モード音声通話・FAXIP網へ移行して継続
ディジタル通信モードEDI・POS・監視・回線制御など終了

つまり「電話が使えなくなる」わけではありません。影響を受けるのは、ISDN回線を使ってデータをやり取りしていた仕組みです。ただし音声側も固定電話網全体がIP網へ切り替わったため、設備や契約の見直しが必要になるケースがあります。

まず確認すること

自社のISDN回線を「電話として使っているだけ」なのか、「データ通信にも使っている」のかを切り分けてください。後者の場合は、その仕組みごとに移行先を決める必要があります。

影響を受けやすい設備

ディジタル通信モードを利用していた代表的な仕組みです。心当たりがあれば、移行が済んでいるか確認してください。

  • EDI(受発注データ交換):取引先とのデータ送受信。全銀協手順やJCA手順を使っているもの。
  • POSレジ・クレジット決済端末:売上データの送信や与信照会。
  • 遠隔監視・警備システム:設備の稼働監視、機械警備の通報。
  • 複合機の遠隔管理:カウンター情報の自動送信。
  • グループ3以外のFAX(G4FAX):ディジタル通信モードを使うFAX。
G3FAXは継続して使えます

一般的な業務用FAX(G3)は通話モードを使うため、IP網でも利用できます。ただし送信速度の設定によっては通信が不安定になることがあり、機器側で速度を落とす設定が必要な場合があります。

IP網に変わって実際に何が変わるか

項目変化
電話番号原則そのまま継続できる
音声通話継続。品質は実用上ほぼ同等
通話料の距離区分距離に応じた区分が撤廃され、全国一律の方向へ
ディジタル通信モード終了。代替手段への移行が必要
一部の付加サービス提供終了・仕様変更があるものがある

音声だけを使っている企業にとっては、体感的な変化は小さいのが実際です。むしろ通話料の考え方が変わったことで、この機会に課金方式を見直すと削減余地が見つかりやすくなっています。仕組みは「分課金と秒課金の違いとは?」で解説しています。

移行先の選び方

音声回線の移行先は、大きく3つに分かれます。

ひかり電話などのIP電話

もっとも移行しやすい選択肢です。既存のビジネスホンをそのまま使えるケースが多く、番号も継続できます。拠点数が少なく、構成を変える予定がない場合に適しています。

SIPトランク

インターネット回線経由でPBXと電話網を直接つなぐ方式です。物理回線を増やさずに同時通話数を増減できるため、拠点の追加や在宅勤務など構成変更が見込まれる場合に向いています。仕組みは「SIPトランクとは?」をご覧ください。

クラウドPBX

交換機そのものをクラウド化する方式です。ビジネスホンの主装置が更新時期を迎えているなら、買い替えと合わせて検討する価値があります。詳しくは「クラウドPBXとは?」で解説しています。

データ通信側の移行先

EDIやPOSなど、ディジタル通信モードを使っていた仕組みは、インターネット回線経由(インターネットEDI等)やモバイル回線への移行が一般的です。取引先との取り決めが関わるため、相手先との調整を早めに始めてください

切り替えの手順

  • 現状の棚卸し:ISDN回線の本数、それぞれの用途(音声/データ)、つながっている機器を一覧化します。
  • データ通信の移行方針を決める:EDI等は取引先との調整が必要なため、ここから着手します。
  • 音声回線の構成を決める:拠点数・同時通話数・今後の増減見込みをもとに、IP電話/SIPトランク/クラウドPBXを選びます。
  • 見積りと比較:基本料・通話料・工事費を含めた総額で比較します。課金方式も併せて確認してください。
  • 番号の継続手続き:ナンバーポータビリティ対応番号かを確認し、必要な手続きを行います。
  • 接続試験と切り替え:FAXや特殊機器がある場合は事前に動作確認を行い、業務影響の少ない日時で切り替えます。

音声のみの移行であれば、SIPトランク構成で最短2週間程度、オンプレミス構成で約3ヶ月が目安です。

移行を機に見直すとよい点

回線を切り替えるタイミングは、契約全体を点検する好機です。以下は実際に削減余地が見つかりやすい項目です。

  • 課金方式:分課金のままなら、秒課金に変えるだけで業務を変えずに削減できます。
  • 契約チャネル数:ISDNは2ch・23ch単位のため、実際の同時通話数と乖離していることが多くあります。
  • 使われていない番号・オプション:閉鎖拠点の回線や、運用されていない転送設定が残っていないか確認します。
  • 契約先の分散:電話・回線・SMSが別事業者だと全体最適が働きません。

具体的な進め方は「法人の電話料金を削減する5つの方法」で解説しています。

よくある質問

ISDNが終了すると電話が使えなくなりますか?
終了したのはデータ通信に使う「ディジタル通信モード」で、音声通話に使う「通話モード」はIP網へ移行して継続しています。電話が使えなくなることはありません。ただし固定電話網全体がIP網へ切り替わったため、ご利用の設備や契約内容によっては見直しが必要になる場合があります。
電話番号は変わりますか?
原則としてそのまま継続できます。ナンバーポータビリティに対応した番号であれば、事業者を変更する場合でも番号を引き継げます。名刺やWebサイトの修正費用は発生しません。
FAXは今までどおり使えますか?
一般的な業務用FAX(G3FAX)は通話モードを使うため、IP網でも利用できます。ただし通信速度の設定によっては不安定になることがあり、機器側で速度を下げる設定が必要な場合があります。ディジタル通信モードを使うG4FAXは利用できなくなるため、機器の入れ替えが必要です。
EDIやPOSがISDNを使っている場合、どうすればよいですか?
インターネット回線経由(インターネットEDI等)やモバイル回線への移行が一般的です。EDIは取引先との取り決めが関わるため、相手先との調整に時間がかかります。ご利用の仕組みと接続先を整理したうえで、早めに着手することをおすすめします。
移行にあわせて通話料を下げることはできますか?
できます。IP網への移行で通話料の距離区分が撤廃される方向にあり、契約を見直す好機です。特に分課金から1秒課金へ変更すると、業務のやり方を変えずに切り上げ分のムダを削減できます。現在のご請求書をお預かりできれば、削減額を無料で試算します。
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