「速度が速い」はずのWi-Fiが遅いのは2.4GHzと5GHzの違いかも

「速度が速い」はずのWi-Fiが遅いのは2.4GHzと5GHzの違いかも

Wi-Fiを契約したとき、販売員から「通信速度が速い最新の通信規格なので、快適にインターネットが使えますよ」と言われたのに、実際に使ってみたら「遅い」と感じたことはないでしょうか。

もちろん、販売員が嘘をついていたわけではありません。

最新のWi-Fi端末でも遅くなるのは、「2.4GHzと5GHz」の違いのせいかもしれません。

もしくは、端末を使っている場所のせいかもしれません。
Wi-Fi(無線LAN)の通信速度は、いろいろな要素が絡み合って決まります。

サービス会社 プラン 1~2ヵ月目 3~24ヵ月目 25ヵ月目以降 契約期間
Broad WimaxBroad Wimax 無制限ギガ放題 2,726円 3,411円 4,011円 3年
GMOとくとくBBGMOとくとくBB 無制限ギガ放題 2,170円 3,480円 3,480円 3年
DTI WiMAX2+DTI WiMAX2+ 無制限ギガ放題 2ヵ月無料!0円 3ヵ月目2,590円 4~36ヵ月目3,760円 3年
カシモWiMAXカシモWiMAX 無制限ギガ放題 超安い!1,380円 3,480円 4,079円 3年
縛りなしWiFi縛りなしWiFi 無制限縛りなし 3,300円 3,300円 3,300円 なし
無制限縛っちゃう 2,800円 2,800円 超安い!2,800円 3年

目次

そもそも「速い、遅い」とは

そもそも「速い、遅い」とは

スマホやパソコンを自前のWi-Fi端末につなげてインターネットを使っていると、通信速度が気になると思います。
なぜ通信速度は速くなったり遅くなったりするのでしょう。

そもそも「速度」とは

通信速度の「速度」は、自動車の速度や新幹線の速度と同じです。
自動車の速度は、自動車という鉄の塊の速度ですが、では、通信速度は「何の」速度でしょうか。

それは、光の速度と電波の速度です。

光回線では、情報やデータを光に変え、光を「物理的なケーブル」に通してインターネットに接続しています。
その光の速度が、光回線の通信速度になります。

Wi-Fiには物理的なケーブルはありません。
それは、情報やデータを電波にして、その電波を空気中に飛ばしているからです。

電波の速度が、Wi-Fiの通信速度になります。

通信速度の単位は「bps」

Wi-Fiの通信速度の単位は「bps」と表示し、「ビット毎秒」と読みます。
bpsの値をみれば、1秒間に何ビットのデータを送信できるかがわかります。
1bpsは、1秒で1ビットのデータを送信できる、という意味です。

現代は高速通信の時代なので「bps」では単位が小さすぎてしまいます。
それで、bpsの100万倍の「Mbps」や、10億倍の「Gbps」が使われます。

この3つの単位の関係はこうなります。

1Gbps=1,000Mbps=1,000,000,000bps

そしてbpsの数字が大きいほど、通信速度が速くなります。

これも新幹線のスピードと同じです。
時速200kmより時速300kmのほうが速いように、1Mbpsより1Gbpsのほうが断然速くなります。

通信速度は通信規格と周波数帯で決まる

新幹線は、常に同じ速度で走っているわけではありません。

カーブに差し掛かれば減速しますし、駅では停車します。また、新幹線の車体には多くの種類があり、それぞれモーターの性能が異なります。モーターの性能が高い新幹線ほど速く走ります。

つまり新幹線の速度は、カーブ、停車駅の数、モーター性能などによって決まるわけです。

そしてWi-Fiの通信速度は、通信規格や周波数帯などで決まります。
最も性能がよい通信規格で、なおかつ、最適な周波数帯のWi-Fi端末を使えば、理論上の通信速度は最高になります。

それでは、通信規格と周波数帯を紹介します。

通信規格とは

通信規格とは

通信規格とは、Wi-Fi端末の「性能の名称」と考えてください。

例えばトヨタは、自動車のエンジンを複数種類つくっていて、排気量や性能や燃費などによって、AR型エンジンやV35A型エンジンという名前をつけています。

Wi-Fi端末も、性能(通信速度)などの違いによって、名前を変えています。

Wi-Fiの性能の名称は「IEEE802.11」+「アルファベット」という形態でつけられています。
「IEEE802.11」までが同じで、性能の違いによって「+アルファベット」の部分が違います。

「IEEE802.11」のあとにつくアルファベットで種類をわける

IEEEはアイ・トリプル・イーと読み、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略で、日本語にすると「アメリカ電気電子学会(または、アメリカ電気電子技術者協会)」となります。

Wi-Fiの性能の名称は、アメリカ電気電子学会がつけていて、それが世界標準になっています。
Wi-Fiの性能の名称はさらに、IEEEのあとに「802」という数字と「11」という数字と「a」や「b」といったアルファベットがつきます。

つまり、あるWi-Fi端末は「IEEE802.11a」だったり、別のWi-Fi端末は「IEEE802.11b」になっていたりします。
末尾の「a」や「b」によって、Wi-Fiの通信速度が変わってきます。

それは次のとおりです。

通信規格 最大通信速度
IEEE802.11b 11Mbps
IEEE802.11g 54Mbps
IEEE802.11a 54Mbps
IEEE802.11n 600Mbps
IEEE802.11ac 6.9Gbps
IEEE802.11ad 6.8Gbps
IEEE802.11ax 9.6Gbps

原則「b→g→a→n→ac→ad→ax」の順に、通信速度が速くなっていくことがわかります。
最も遅い「b」の11Mbpsと最速の「ax」の9.6Gbpsでは、872.7倍の差があります。

少し複雑な話

さて、ここから話が複雑になってきます。

ここまでの話「だけ」であれば、より高性能な通信規格のWi-Fi端末を購入すれば、スマホやパソコンをより快適に使える、ということになります。
それは間違っていませんが、100%正しいわけでもありません。

高性能の通信規格のWi-Fi端末を購入しても、速くならないことがあります。

上記の表には「最大通信速度」と書いてあります。
「最大」とは「最高の条件であれば、その出力を出すことができる」という意味です。これは「条件によっては、ここまでの通信速度を出すことはできません」と言っているのと同じです。

高性能の通信規格のWi-Fi端末を使っているのに通信速度が速くならないのは、周波数帯が関係しています。

周波数帯とは

周波数帯とは

周波数帯のうち「周波数」とは、電波が1秒間につくる「波」の数で、電波は波の形で飛んでいきます。

周波数帯とは、国(総務省)が定めている周波数の「範囲」です。
国は「スマホを含む携帯の周波数帯はいくつ」「テレビ放送の周波数帯はいくつ」と、用途別に周波数帯を決めています。

そしてWi-Fiには「2.4GHz」と「5GHz」という2つの周波数帯を割り当てています。

なぜWi-Fiの周波数帯に「2.4GHz」と「5GHz」の2つがあるのか

なぜWi-Fiの周波数帯に「2.4GHz」と「5GHz」の2つが用意されているのかというと、それぞれメリットとデメリットがあるからです。

2.4GHzの特徴

2.4GHzの周波数帯は、電波が遠方まで届く、壁や床などの障害物に強い、というメリットがあります。
しかし、家電やIHクッキングヒーター、ブルートゥースも2.4GHzなので、それらの電波と2.4GHzのWi-Fiが干渉してしまい、電波が弱まるデメリットがあります。
そのため、2.4GHzのWi-Fiでは速度低下や切断が起きやすくなります。

5GHzの特徴

一方、5GHzはWi-Fi専用の周波数帯なので、他の電気製品とは干渉しませんが、壁や床などの障害物に弱いというデメリットがあります。

これが、「Wi-Fiに2種類の周波数帯が存在する理由」であり、そして「高性能の通信規格のWi-Fi端末を使っているのに通信速度が速くならないことがある理由」でもあります。

便利さを追求したばかりに複雑になった?

Wi-Fiに5GHzと2.4GHzの周波数帯が用意されているのは、使用場所や用途によって、最適なほうを選べるようにしたかったからです。
Wi-Fiの便利さを追求するために、2種類の周波数帯が存在します。

ところがその「せい」で、高性能の通信規格のWi-Fiのほうが、低性能の通信規格のWi-Fiより遅くなる逆転現象を起こす可能性を生み出してしまいました。

先ほどの通信規格の表に、周波数帯を組み合わせると次のようになります。

通信規格 周波数帯 最大通信速度
IEEE802.11b 2.4GHz 11Mbps
IEEE802.11g 2.4GHz 54Mbps
IEEE802.11a 5GHz 54Mbps
IEEE802.11n 2.4GHz
5GHz
600Mbps
IEEE802.11ac 5GHz 6.9Gbps
IEEE802.11ad 60GHz
(例外的な周波数帯)
6.8Gbps
IEEE802.11ax 2.4GHz
5GHz
9.6Gbps

IEEE802.11nとIEEE802.11axには2.4GHzと5GHzが用意されています。
また、IEEE802.11bとIEEE802.11gは2.4GHz専用で、IEEE802.11aとIEEE802.11acは5GHz専用です。

このなかからベストのWi-Fiを選ぶことになるわけですが、Wi-Fiは利用場所が頻繁に変わるので、常にベストの状態を維持できるわけではありません。

速度に関わるその他の要因

通信速度に影響を与える主な要因は、通信規格と周波数帯ですが、Wi-Fiのアンテナの本数によっても通信速度が大きく変わります。

IEEE802.11nのWi-Fiは最大通信速度が600Mbpsですが、これはアンテナ4本のときの速度です。
アンテナが1本になってしまうと、単純に4分の1になって、150 Mbpsにまで下がります。

そのため、せっかくIEEE802.11nのWi-Fi端末を購入しても、その端末にアンテナが1本しかついていなければ、「11nの割に遅い」と感じるでしょう。

遅くなる原因はまだあります。

4本のIEEE802.11nのWi-Fi端末を買っても、パソコンのアンテナが2本しかついていない場合、そのパソコンを使ったときの通信速度は、アンテナ2本分の300 Mbpsになってしまいます。

そのため、Wi-Fi環境は同じなのに、パソコンを買えたら通信速度が遅くなったということが起き得ます。
もちろん、その逆に新しいパソコンに変えただけで、Wi-Fi環境は変えていないのに、通信速度が速くなることもあります。

まとめ

Wi-Fiの通信速度は、さまざまな要因によって変化します。
「一番よいもの」をそろえれば、速くなる可能性はかなり高まりますが、それでも電波障害を受けやすい場所で使えば遅くなってしまいます。

最適な機器と最適な通信環境の両方がそろわないと、最速利用はできないわけです。

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この記事を書いた人

ポケット型Wi-FiやWiMAX、格安SIMについて独自の調査を元にお得で有益になる情報を発信しています!

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